36歳、浮気なぼくら

ビートニクの生き残りSeiyaの放浪文集

第79話:それは、後ろから感じるからです。

「誰もその視点で語らなかった」と、noznoさんはおっしゃいましたが、(第78話において。コメントありがとうございます。)
それは、「人が、後ろから感じるから」だと思うのです。

前から行きます。

人が、火災で亡くなった。
若い女の人と、中年男性が亡くなった。
火災は風俗店で起こった。
亡くなったのは、風俗嬢とその客だった。

はい。

だから、世間は、人々は本当は「死を悼む、痛む」ことを忘れて、あるいは「恥ずかしい事」のように感じたり、考えたりするのだ。

要するに「後ろから感じる」

逆から感じて、物事を認識する。

まるで、懐かしいマジック:ザギャザリングの、スタックルールのように。

そうやって、区別するのだ。恐らく。

ほら、前から行くと「個」は判然としないじゃないですか。

でも、後ろから行くともう、切り取ったショートケーキになってるから区別つく。

ってのは、違いがないと、そうだ、個が判然としないんだ。

でも、ぼくは前から感じるのです。

まず若い女性が亡くなった。火災で焼けてしまった。
人生が突然終わってしまった。

ついさっきまでは元気に笑っていたであろう、若い女性が。

普通に家族や友達がいる若い女性が…

ぼくらと同じ、人間が、ぼくらと同じ、若者が、ぼくらと同じ、日本人が…

やればやるほど愛情の共感は切り取られて消えていく。

そういうのやだな。

姫納めです。

愛情の不可思議さを心に抱いて、日常にもどります。