第79話:それは、後ろから感じるからです。
「誰もその視点で語らなかった」と、noznoさんはおっしゃいましたが、(第78話において。コメントありがとうございます。)
それは、「人が、後ろから感じるから」だと思うのです。
前から行きます。
人が、火災で亡くなった。
若い女の人と、中年男性が亡くなった。
火災は風俗店で起こった。
亡くなったのは、風俗嬢とその客だった。
はい。
だから、世間は、人々は本当は「死を悼む、痛む」ことを忘れて、あるいは「恥ずかしい事」のように感じたり、考えたりするのだ。
要するに「後ろから感じる」
逆から感じて、物事を認識する。
まるで、懐かしいマジック:ザギャザリングの、スタックルールのように。
そうやって、区別するのだ。恐らく。
ほら、前から行くと「個」は判然としないじゃないですか。
でも、後ろから行くともう、切り取ったショートケーキになってるから区別つく。
ってのは、違いがないと、そうだ、個が判然としないんだ。
でも、ぼくは前から感じるのです。
まず若い女性が亡くなった。火災で焼けてしまった。
人生が突然終わってしまった。
ついさっきまでは元気に笑っていたであろう、若い女性が。
普通に家族や友達がいる若い女性が…
ぼくらと同じ、人間が、ぼくらと同じ、若者が、ぼくらと同じ、日本人が…
やればやるほど愛情の共感は切り取られて消えていく。
そういうのやだな。
姫納めです。
愛情の不可思議さを心に抱いて、日常にもどります。